日本全国の学習塾の特徴や選び方など、さまざまな情報を提供する「ゼロ塾ガイド」。
その記事はどれをとっても痒いところまで手が届く、充実した内容となっています。
運営者である渡辺なおやさんに「ゼロ塾ガイド」への思いや、運営のきっかけとなったライティング(文章を書くこと)との出会いなどについて伺いました。「勉強すること」への思いも、自分のご経験を踏まえて率直にお話しくださっています。
以下では私のプロフィールも掲載しています。
勉強をしていけば、人生が良くなる
ーまずは「ゼロ塾ガイド」を開設した理由を教えてください。
私は子どもの頃、勉強をするのが嫌で嫌で仕方ありませんでした。でも大人になって勉強の大切さに気が付き、実際に勉強を始めてみた時に「あ、勉強したら報われるんだ」と気が付いたんです。
勉強をしていけば、人生が良くなる。そして勉強は、できるだけ早く始めた方がいい。
このメディアを訪れてくれた人には、そのことを少しでも早く知ってもらい、勉強で人生をより良くして欲しい。私はそう思ってこのメディアの運営を始めました。
ーなるほど。ひとくちに勉強といっても、方法は学校での授業の他にも、家庭教師や自主学習などいろいろあります。学習塾に絞ったのはどうしてですか?
人生を良くするならば、私は「子ども時代から大学受験までの間に、勉強をどれだけ早く始め、長く続けることができるか」が結果の分かれ目だと思っています。言い換えれば「子どもの頃からの時間というアドバンテージを、どれだけ使うことができるか」ということです。
ですのでこのメディアは、自力で積極的に勉強を進められるお子さんよりも、「そもそも勉強の仕方がよくわからない」というお子さんを対象にしています。そういったお子さんが本気で勉強をするならば、私は塾以外に最適なものはないと考えているんです。
ー早く勉強の仕方をマスターすることで伸びしろがより大きくなって、いろいろな道を選ぶことができる。そのために、そもそもの「勉強の仕方」から学べる塾を紹介しようと思われたのですね。
そうです。私自身は中学3年生から塾に通い始めましたが、人よりも遅い方だったと思います。早い人であれば、小学校受験や中学受験に向けて、もっと小さな頃から勉強を始めてる人たちもいます。そのように早くから塾に通っていた方が、勉強というルートでは勝ちやすく、後々の人生にリターンが大きいと思いますね。
勉強へのモチベーションが低かった子ども時代
ー先ほど、渡辺さん自身は子どもの頃は勉強が好きではなかったとおっしゃいました。どんなお子さんでしたか?
「なぜ?」を常に考える子どもでしたね。どんなことでも「どうしてこれが必要なんだろう」などと理由を考えるタイプです。周りの大人に「そういうものなの」とか「当たり前でしょう」と言われても、自分が納得できないとなかなか動くことができない。いつも、どんなことでも「なぜ?」をずっと考えていました。
例えば私の地元は田舎なので、昔から「家を買ったら1人前の大人として認めてもらえる」というような雰囲気がありました。子どもの頃からそれがすごく不思議でしたね。
ー確かになんとなく「そういうもの」とされていることって、実はたくさんありますよね。勉強についてはどうでしたか?
勉強についても同じですね。「勉強しなければいけない理由」をきちんと説明してくれる人が身近に1人もいなかったから、勉強に対するモチベーションはすごく低かったです。自分がその時に面白いと思ったことは一生懸命勉強するけど、したくないことは全く手をつけない子どもでした。
小学生の時は算数が得意でした。でも、中学生の頃からそうではなくなってきて、逆に国語や英語の成績が伸びました。ずっと決まった教科が得意ということでもなかったし、受け持つ先生や内容によっても、楽しく勉強できたかどうかは変わっていました。
基本的に、頭ごなしに「しなさい」と言われて嫌々勉強していましたから、成績は全然良くなかったですね。時期や単元によっても、かなり成績にムラがありました。
経験と得意を活かし、メディアを設立
ーでは、渡辺さんが「勉強の大切さに気が付いた」というお話について聞かせてください。どんなきっかけでそう思われたのですか?
20歳くらいの頃、人と話をしている時に、びっくりするくらい話がかみ合わなかったことがあったんです。細かな内容は忘れましたが、その時にこれが「勉強してきた相手」と「勉強してこなかった自分」の差だなとすごく感じました。「あ、このまま勉強しなかったら、私は社会で食いっぱぐれるんじゃないか」って直感的に感じました。それで勉強を始めました。
ー具体的にはどんな勉強を始めたのですか?
いろいろな本を読み始めました。同時にその中で心を動かされた言葉をたくさんノートにまとめて、自分の「名言ノート」を作りました。それは今でも大切に引き出しに入れています。
またそれと同時期に、パソコンを買いました。もう成人していましたので「大人に必要な勉強は、今後はパソコンだろうな」「そもそもパソコンができないと仕事がなくなる時代だろうな」と思ったのです。タッチタイピングの練習から始めて、仕事を終えて家に帰ってから、1日5時間、週5日、3か月間練習して、e-typingで250ポイントを出すまでいきました。
当時は販売系の仕事をしていたので、そのことが直接役に立つことはあまりありませんでした。でもそれ以外の勉強も含めて「勉強すること」自体を苦に感じたことはありませんでしたね。私は勉強するようになってから初めて「自分はもしかしたら勉強することが好きで、向いていたのかもしれない」と気が付いたのです。
その後会社を辞めて、ブログを作り始めました。そうしたら、ブログの文章や入っていたコミュニティで発信している文章を「すごく読みやすい」と、しょっちゅう褒めてもらうようになってきたのです。
ーそれはすごいですね。文章を書くことについてもう少し教えてください。
文章を書くことをライティングと言います。最初の頃は人に読んでもらうことはあまり意識せず、自分の伝えたいことを、とにかく熱量だけで書いていました。そのうちにスキルを覚えてそれを駆使して文章を書くようになると、さらにどんどん反応が増えてきました。
私はライティングは自己表現だと思っています。書いたものを読んでくれた人から反応や感想がもらえるとすごくうれしいし、報われた気持ちになります。「ライティングで人の心を動かす楽しさ」を知り、さらに頑張るうちに、ブログの先輩からも「あなたは文章を書くことに適性があるのね」と言われるようになりました。
ー自分では気付かなかったことが、人に言われて初めて強みかもしれないと気がついたんですね。
自分としては普通だと思っていたんですが、「そんなに心に響くような文章、自分には書けない」と言って下さる方もいました。結果、今はライティングを仕事にしています。子どもたちに早く勉強を始めて人生を良くしてほしいという思いと自分の得意であるライティングを合わせて、今は「ゼロ塾ガイド」を運営しています。
スキル向上のため、努力を重ねる
ーライティングをするにあたって、気をつけていることや大事にしていることを教えてください。
まずは内容について、基本的なことですが「間違った情報を書かない」ことを大事にしています。読み手の立場からすると、間違った情報があればアウトです。エビデンス(根拠)のチェックは必ず全部行い、信頼のある文献や情報を探すようにしています。
次に文章の書き方については、根拠を持って説明できることを大事にしています。例えば、文章の繋ぎ方や、ある単語を文章の前と後ろのどちらに持ってくるかといった配置の理由も、小さなことでも必ず自分の中で説明ができるようにしています。また「ここは『です・ます調』で丁寧な言い方にした方が伝わるな」「強く印象に残したい場面だから、テイストを変えた方がいいな」など、読者がどういう気持ちになるかを常に考えています。
ー体裁を整えることによって、中身がより届きやすいようにしているのですね。
はい。文字ばかりでは読者に面白く感じてもらえませんので、色や表で装飾することもしています。
基本的にスマホで見た時に、画面が文字でいっぱいにならないようにして「楽しくて役に立つな」と思ってもらえる文章を心がけています。
それに加えて「もう一歩踏み込む」ということも意識しています。例えばオレンジジュースについて書く時に、糖度などの情報だけではなく「その文章を読む人は、なぜそのオレンジジュースについて知りたいと思ったのか、本当に求めていることは何なのか」を考えるということです。奥にあるニーズを常に考えてライティングするようにしています。
ライティングのスキルを向上させるために、いろいろなことに常にアンテナを張っています。Google Discoverなどには目を通すようにしていますし、話題になっている記事などは常に読むようにしていますね。
チームでビジネスを成功させたい
ー渡辺さんの今後の目標や展望について聞かせてください。
当面の目標は、このメディアを続けることです。やれることは全部やるつもりで徹底的に突き詰め、まずは収入面で月100万円を目標値にしています。というのも「個人で100万円稼ぐ」というのが、私の中では「メディアを作るプロ」だと言えるひとつの基準だからです。そしてそこまでいければ、ある程度高い報酬で人を雇うことが継続できると思っています。まずはファーストステージとして100万円稼げるようになること、その次は組織化することを目標として考えています。
ー組織化も考えておられるのですか?
そうなんです。元々、私は会社員時代はチームで働いていました。それが嫌で、1人で仕事をして自分のために稼いでいきたいと思ったからフリーランスになったのです。ところが最近、やっぱり自分はチームを組んで仕事をするのが好きで、しかも得意だったんだなということに気が付いてきました。今は「チームで働きたい」とすごく感じています。
それに実際、私が1人でできることには限りがあります。
仮に私が50の仕事ができる人間だとします。人を集めてチームの管理をするにあたって、できる仕事量が30に減ったとしても、20の仕事ができる人が2人いればトータルでは70となります。
現在も協力してくれる人たちと共にこのメディアを運営しています。私はこの仕事をすごく楽しんでいるので、さらにもっと成長させていき、チームでビジネスを成功させていきたいです。
ーそうやってビジネスを成功させた先に、どのような未来を思い描いておられますか?
私は稼げる人になりたいです。私にとって、稼ぐことは自己実現に近いかなと思っています。自分を大切にしてくれる人が少ないところにはいたくないので、自分と身の回りの人を大切にしつつ、自分軸で楽しく過ごすことができたらいいなと思っています。
人との付き合いの上では「三方良し」を大事にしたいと思っています。いつもそんな風にできるかどうかはわかりませんが、お互いがある程度自立した人間だという前提で、一人前の人間として交流ができることを軸に人と付き合っていきたいです。
勉強は「自分に対する投資」
ー最後に、塾選びをしておられる、このメディアの読者の方々に向けてメッセージをお願いします。
もしも今、私が中学1年生に戻れるのであれば、私はめちゃくちゃ勉強すると思います。
東大まで行けるかどうかはわかりませんが、とにかく自分が耐えられるところまで必死で勉強すると思います。勉強の大切さが、今ならよくわかるからです。
もちろん学校の勉強ができたからといって、全員が必ず幸せになれるとか、なんでもできる人生になるということはありません。でも、少なくとも勉強というのは「自分に対する投資」だと私は思います。勉強することで知識はもちろん、経験やさまざまなものごとの考え方を学ぶことができるのは、投資で言えば利回りがバグること、つまりより良い人生を送るための大きな利点になると思うのです。
早い段階から勉強を始め、そのルートで高みを目指すのも良いでしょう。また、もしも勉強以外のルートで高みを目指すことを選ぶのであっても、勉強してきたことは役に立ちます。
私のおばあちゃんはよく私に「人間は生涯学習」と言っていました。このメディアを訪れてくださった方々には、ぜひ早いタイミングで勉強を始め、人生を良くするスタートを切っていただきたいです。
(取材・文/梅原ひかる)